■会長の挨拶

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平成23年度茨城県弁護士会長からのご挨拶

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平成23年度茨城県弁護士会の会長に就任いたしました佐藤大志です。当弁護士会のホームページを閲覧いただき、ありがとうございます。

本年3月11日に東日本太平洋沖で発生した大地震と大津波により、多数の方々が甚大な被害を受け、さらには福島第1原子力発電所において放射能発生事故も生じて、現在も尚、東日本全域に深刻な被害が拡大しております。今回の東日本大震災により被災した皆様に対し、まずはお見舞いを申し上げ、一刻も早く安心して生活ができるようになることを祈念しております。

今回の大震災の発生直後、茨城県弁護士会は、災害対策委員会を立ち上げ、茨城県民の皆様や県内に避難された被災者の皆様のために、どのような対応をすべきかを検討し、3月28日から電話での無料法律相談を開始しました。平成23年度の執行部もこの震災に対する法的支援活動を引き継ぎ、全会員を総動員して、迅速に被災者の皆様への法的支援を行う体制を一層強化するために、会内に災害対策本部を立ち上げました。そしてそれまでの電話相談体制を拡充強化するとともに、また被災した自治体を中心に、相談活動を現地で行う体制をとり、すでに4月5日以降、日立市、高萩市、水戸市、大洗町、桜川市などに設けられた臨時相談施設の無料法律相談に弁護士を派遣して、被災に関する相談活動を進めており、さらに法テラス茨城とも連携して、弁護士の派遣先を拡大し、全県地域での相談体制作りを進めております。

今は、この大震災による被災に対する法的支援活動が喫緊の最重要課題となっております。本年度中は、県弁護士会をあげて、この課題に全力で取り組む予定でおりますので、多くの県民の皆様や被災者の方々がご相談にみえられることをお待ち致します。

他方、現在弁護士会が抱える深刻な課題として、適正な法曹人口の策定と法曹養成制度の是正というテーマがあります。昨年度は、司法修習生に対する給費制維持のために、当弁護士会として、街頭活動や署名運動に取り組み、貸与制の導入延期と、給費制の維持を県民の皆様に訴えて、ご協力をお願いしてまいりました。その結果、裁判所法が一部改正され、給費制が1年間延長となりました。

しかしこの給費制維持問題は、法曹養成制度の一部の課題でしかありません。この問題の鍵は、市民の視線に立って、求められる法曹制度はどのようなものであるべきか、という点です。法的な紛争が発生した場合、紛争の当事者から求められる法的紛争の解決能力を備えた弁護士が、現在の社会的、経済的実情の中で、足りているのか、不足しているのか、また現在の法曹養成の制度は、市民の要求に応えられる弁護士の養成システムとして十分機能しているのか、もし十分ではないとするなら、どのように改善すべきであるか、こういった観点から、答えを導き出す必要があると思います。

今回の震災対策で顕著なように、弁護士会の活動の多くは、社会に貢献するボランティア活動です。また一人前の弁護士を養成するには、医師と同じように相当の時間と資金の投下、そして経験を積んだ先輩による教育環境の確保が不可欠といえます。医師も、いきなり難しい手術ができないように、弁護士も、十分に市民の法的要求に応えるためには、相当程度の教育期間を必要とします。また弁護士がその能力を誤って用いたがために、社会悪の増長を許したり、市民の権利が侵害されるという事件は、過去にも多数存在しました。そのため弁護士には強い社会的倫理観が求められます。市民の権利を擁護し、人権侵害の救済に取り組みたいと志を抱く若い法曹志望者が、経済的な理由からその夢を諦めることなく、十分に法的能力が育まれる養成システムといえる法曹養成制度が求められておりますが、現在の法曹人口数とその増員ペースは、その夢と能力を育むために大きな障害となっております。

当弁護士会としても、このような問題を県民の皆様に正しくお伝えして理解をいただき、法曹人口の増員ペースをダウンし、将来必要とされる法曹人口を再検証し、市民の期待に応える若い熱意と能力のある法曹を養成するために不可欠な司法修習生の給費制を維持するため、これらの運動に全力を注ぎたいと考えておりますので、是非ともご理解とご支援をお願いしたいと思います。

一方県下で発生した冤罪事件である布川事件は、5月24日に水戸地方裁判所土浦支部において判決が予定されております。冤罪を防止できない制度的欠陥は、古くから指摘されておりますが、被疑事実を否認する被告人に対し、自白を強要する捜査手法や、その自白調書が証拠とされてしまうという問題点があります。この問題の抜本的解決の手法として、取調の全過程を可視化すべきであると弁護士会は訴えております。また被告人の無罪を推定させる有力な証拠が検察官の手元にあっても、その証拠が隠されてしまうという問題もあります。昨年大阪地検特捜部の捜査検事が、被告人の無罪の決め手となる証拠を改竄したとして逮捕され、最近実刑判決が下されました。このような証拠隠しを防ぐためには、検察官の手持ち証拠を弁護側に全面開示することが不可欠といえます。
この取調べの可視化と検察官手持ち証拠の全面開示の制度の実現が、冤罪被害に苦しむ市民の大きな力となるものと思いますので、当弁護士会としても、この制度実現のためにも力を注ぎたいと思います。

大きな課題が山積する本年度ですが、若手の会員を中心として当弁護士会の多くの会員が、上記の課題に積極的に取りくんでおります。私としても、県民の皆様の協力を得ながら、この1年間、県弁護士の活動の調整役として微力ながら邁進したいと思っておりますので、どうぞご支援とご協力をお願い致します。